てぃーだブログ › sugarbutterの記録 › ペット › シジュウカラは巣内のヒナに対し異なる危険を異なる「ことば」で伝えることができ るんですって

2018年02月15日

シジュウカラは巣内のヒナに対し異なる危険を異なる「ことば」で伝えることができ るんですって

私の家の庭には小鳥用の巣箱があります。住宅地は木の洞などに巣を作る小鳥の営巣場所が不足がちなので、9年ほど前に私と同様鳥好きの父と一緒に作って庭の木に架けたものです。
その後その巣箱はジュウガラに利用され続け、毎年初夏になると両親に餌をねだるヒナの声が巣箱から聞こえるようになり、私たち家族を和ませてくれます。

シジュウカラは本来、樹林の住人ですが、樹木が植栽されていれば都市公園や住宅地の中でも暮らしていて、私たちには比較的馴染みのある野鳥です。
シジュウカラのオスのさえずりはレパートリー豊かで、個体ごとに違ったさえずり方をしています。またさえずり以外のオスメス共に出す鳴き声も多様です。それらは日常生活の色々な場面で個体間のコミュニケーションに使われています。

さて、話は変わりますが先日私は少し危険な目に遭いかけました。

近くに住む親戚の幼稚園児を連れだして散歩している最中のことです。
途中、狭い道を前後2、3メートル放れて歩いていました。その道は車や自転車の通行もある道ですが、道路幅の関係で歩道は片側にしかありません。

その道を、私は歩道上を、子供は路肩部分を歩いていました。
そのとき、前方から歩道を自転車が、後方から車道を乗用車が速い速度で近づいてくるのに気づきました。遊びながら歩いていた子供はそれに気がついていないようでした。それで思わず、「危ないから避(よ)けて!」と大声で叫びました。

子供は声にびっくりしたのか、路肩で固まってしまい動きませんでした。私はというと、自転車も車も避けられるように路肩に移動し立っていました。
自転車も乗用車も、何事も無いかのように徐行することも無く私たちの横を通り過ぎて行きました。

後から大いに反省しました。
そうなのです。とっさの事とはいえ、私は子供に対し、どういう危険が近づき、どう対処すれば良いかの情報を何も与えていなかったのです。
もし子供が私の声で路肩から歩道に移動したり、或いは車道に移動したりしていたら大事故が起きてしまったかも知れません。

そんなことを夜、家で父に話しました。すると父は、自分が見ている「野鳥」という雑誌にそれと似た話が載っていると言います。
「鈴木俊貴さんという研究者がご自分の研究成果を解説した記事の一部だが、ほら、家で繁殖しているシジュウカラね、この鳥の天敵対策がそれで、実に私たちの上を行っているような話だ」

その記事によれば、お話の内容はこうです。
森の樹洞で育てられているシジュウカラの主要な捕食者はハシブトガラスとアオダイショウです。
ハシブトガラスは樹上でえさ探しし、シジュウカラの樹洞巣を発見するとその中のヒナを捕食しようとします。しかしシジュウカラのヒナを食べるためには入り口から嘴を入れて樹洞からヒナを引っ張り出さないといけません。しかしこれは厄介な仕事なので、巣内のヒナは、巣から危険な外へ飛び出すより、巣の底にうずくまりハシブトガラスが諦めて去るのをじっと待っているほうが命を大事にできそうです。
一方、アオダイショウは地上や低い木の上などでえさ探しします。アオダイショウはシジュウからの巣の存在に気がつくと木の幹を登り、樹洞内部に入ってヒナを丸呑みします。シジュウカラのヒナは巣内にいると皆食べられてしまいますから、アオダイショウが巣内に入る前に巣から飛び出すことが命を守ることに繋がります。

さて、ヒナの捕食者となるハシブトガラスやアオダイショウが巣の近くにいることに気がついた親鳥はどうするのでしょうか。親鳥は子供たちに危険な天敵が巣に近づいていることを鳴き声で知らせます。しかもそのとき、相手がハシブトガラスであれば「チカチカ」、アオダイショウであれば「ジャージャー」という声で鳴き、「天敵が来たから気をつけろ」だけでなく、「どんな天敵が来たから気をつけろ」と知らせるのです。

ヒナのほうもこの2種類の鳴き声(もう”ことば”と言ってもいいですね)を聞き分けることができます。「チカチカ」という鳴き声を聞いたヒナは体を巣底に沈めうずくまる行動を取ります。「ジャージャー」という鳴き声を聞いたヒナは、外に飛び出られるまでに発育していれば次々と巣外へ脱出するのです。

シジュウカラのこの情報の伝達は親子の間で為されるだけでなく、つがい間でも同じ情報が伝達されます。天敵を発見した個体が出した声に対し、その伴侶は、聞いた鳴き声が「チカチカ」であれば森の上層を、「ジャージャー」であれば地上方面に警戒の目を向けるというのです。

シジュウカラの音声コミュニケーション世界は複雑で音声の「文法」を解する力も備えているようです。
しかしたとえそこまで行かなくとも、私の家の庭で子育てをしているシジュウカラたちが、親は子供に危険な天敵の接近だけで無くその天敵の違いまで教え、同時にヒナはその違いに応じて異なる行動をとる能力を持っている、なんて、とても新鮮な驚きでした。
シジュウカラは巣内のヒナに対し異なる危険を異なる「ことば」で伝えることができ るんですって


同じカテゴリー(ペット)の記事

Posted by sugarbutter at 18:05│Comments(0)ペット
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。